世界農業遺産・日本農業遺産について

世界農業遺産・日本農業遺産とは

世界農業遺産及び日本農業遺産は、社会や環境に適応しながら何世代にもわたり継承されてきた独自性のある伝統的な農林水産業と、それに密接に関わって育まれた文化、ランドスケープ(※1)及びシースケープ(※2)、農業生物多様性(※3)などが相互に関連して一体となった、将来に受け継がれるべき重要な農林水産業システムを認定する制度です。

  • ※1 ランドスケープ:土地の上に農林水産業の営みを展開し、それが呈する一つの地域的まとまり
  • ※2 シースケープ:里海であり、沿岸海域で行われる漁業や養殖業等によって形成されるもの
  • ※3 農業生物多様性:食料及び農業と関わりのある生物多様性及び遺伝資源が豊富であること

世界農業遺産とは

世界農業遺産は、世界的に重要かつ伝統的な農林水産業を営む地域(農林水産業システム)を、国際連合食糧農業機関(FAO)が認定する制度です。

FAOは2002年、世界農業遺産(GIAHS)の保全および適応管理のためのイニシアティブを開始しました。このイニシアティブは世界農業遺産(GIAHS)の世界的な認知、動的な保全、適応管理、また、世界中で農業的生物多様性、知識システム、食と暮らしの安全および文化を保護し支援するための礎を築くことを目的としています。

世界農業遺産の目的は、近代化の中で失われつつあるその土地の環境を生かした伝統的な農業・農法、生物多様性が守られた土地利用、農村文化・農村景観などを「地域システム」として一体的に維持保全し、次世代へ継承していくことを目指しています。

世界で22ヶ国67地域、日本では13地域が認定されています(令和4年7月現在)。

世界農業遺産認定基準

食料及び生計の保障

申請する農林水産業システムは、地域の人々の所得や経済に貢献していること。

農業生物多様性

申請する農林水産業システムは、食料及び農業にとって世界的に重要な生物多様性及び遺伝資源があること。

地域の伝統的な知識システム

地域の伝統的な技術が、「地域の貴重で伝統的な知識及び慣習」、「独創的な適応技術」及び「生物相、土地、水等の農林水産業を支える天然資源の管理システム」を維持していること。

文化、価値観及び社会組織

申請する農林水産業システムに関連した文化的アイデンティティ及び風土が、地域に定着し、帰属していること。

ランドスケープ及びシースケープの特徴

人類と環境との相互作用を通じ、長い年月をかけて発展してきたランドスケープ及びシースケープを有すること。

世界農業遺産認定地域

「東北」

「関東」


静岡の茶草場農法
[静岡県掛川周辺地域/平成25年認定]

「北陸」


トキと共生する佐渡の里山
 [新潟県佐渡市/2011年認定]

能登の里山里海
[石川県能登地域/2011年認定]

「東海」


清流長良川の鮎 ―里川における人と鮎のつながり―
[岐阜県長良川上中流域/2015年認定]

「近畿」


みなべ・田辺の梅システム
[和歌山県みなべ・田辺地域/2015年認定]

「中国・四国」


にし阿波の傾斜地農耕システム
[徳島県にし阿波地域/2018年認定]

「九州」


阿蘇の草原の維持と持続的農業
[熊本県阿蘇地域/2013年認定]

クヌギ林とため池がつなぐ国東半島・宇佐の農林水産循環
[大分県国東半島宇佐地域/2013年認定]

高千穂郷・椎葉山の山間地農林業複合システム
[宮崎県高千穂郷・椎葉山地域/2015年認定]

日本農業遺産とは

日本農業遺産は、我が国において重要かつ伝統的な農林水産業を営む地域(農林水産業システム)を農林水産大臣が認定する制度です。
2017年(平成29年)3月に初めて峡東地域を含む8つの地域が認定されました。

世界農業遺産の5つの認定基準に、日本が独自に定めた3つの基準を加えています。

  • 6.変化に対する回復力
    自然災害の多い日本では、多くの農林水産業システムが長い歴史の中で自然災害に耐え、変化に対応してきた。農林水産業システムを保全し次の世代に確実に継承していくため、災害等に対する高いレジリエンスを保持していること。
  • 7.多様な主体の参加
    担い手の減少や社会的な変化に対し、伝統的な農林水産業及び関連する文化や生態系保全システムの維持・活性化のため、地域住民のみならず多様な主体の参加による新たな仕組みにより農林水産業システムを継承していること。
  • 8.6次産業化の推進
    農林水産業システムが有する歴史的価値、農林水産物、伝統文化、ランドスケープなどを活用し、農産物のブランド化や観光振興など地域ぐるみの6次産業化等の推進により、地域を活性化させ、農林水産業システムの保全を図っていること。

日本農業遺産は、16県22地域が認定されています。(令和3年11月現在)

日本農業遺産認定地域

「東北」

「関東」


武蔵野の落ち葉堆肥農法

[埼玉県武蔵野地域/2016年度認定]

「北陸」


雪の恵みを活かした稲作・養鯉システム

[新潟県中越地域/2016年度認定]

「氷見の持続可能な定置網漁業」

[富山県氷見地域/2021年度認定]

三方五湖の汽水湖沼群漁業システム

[福井県三方五湖地域/2018年度認定]

「東海」


鳥羽・志摩の海女漁業と真珠養殖業

[三重県鳥羽・志摩地域/2016年度認定]

急峻な地形と日本有数の多雨が生み出す尾鷲ヒノキ林業

[三重県尾鷲市・紀北町/2016年度認定]

「近畿」


兵庫美方地域の但馬牛システム

[兵庫県兵庫美方地域/2018年度認定]

聖地 高野山と有田川上流域を結ぶ持続的農林業システム

[和歌山県高野・花園・清水地域/2021年認定]

みかん栽培の礎を築いた有田みかんシステム

[和歌山県有田地域/2021年認定]

下津蔵出しみかんシステム

[和歌山県海南市下津地域/2018年度認定]

「中国・四国」


にし阿波の傾斜地農耕システム

[徳島県にし阿波地域/2016年度認定]

たたら製鉄に由来する奥出雲の資源循環型農業

[島根県奥出雲地域/2018年度認定]

愛媛・南予の柑橘農業システム

[愛媛県南予地域/2018年度認定]

「九州」

ギャラリー